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2014年9月 1日 (月)

茂木ひでこ 所信表明

茂木ひでこ市長は平成26年9月定例議会において、所信表明演説を行いました。その内容をご紹介いたします。


所信表明の前に一言申し上げます。 「平成26年8月豪雨」による広島の土砂災により、多くの方々が被災されました。土砂災害としては過去最大級とされる死者72名、行方不明者2名となり、たくさんの尊い命が奪われました。 被災された方々に心よりお見舞いを申し上げますと共に、亡くなられた方のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

 私は、本年4月より安中市長に就任し、4ヶ月がたちました。就任後、皆様から貴重なご意見やご要望をいただき、これからの「街づくり」に向けての課題が見えてまいりました。それと合わせ、市政を預かる責任の重さを感じ、身の引き締まる思いでおります。四年間「安中の街づくり」に全力を尽くしてまいります。  本日、平成26年、第3回定例議会が開会されるに当たり、市政運営の所信の一端を申し述べ、市民の皆様、並びに議員各位のご理解とご協力をお願い申し上げる次第でございます。  今、日本は少子高齢化時代を迎えています。すでに皆様もご承知の通り、本市も例外ではなく、市民の約3人に一人が65歳以上という状況であり、人口も徐々にではありますが減少傾向にあります。 高齢社会を迎え、特にひとり暮らしのお年寄りの孤独、孤立化、認知症、介護、交通弱者の問題など、今までの施策では解決しきれない状況にあります。  また、若者を取り巻く状況は、就職難や非正規雇用、引きこもりやニート等、厳しい環境に追い込まれる若者も少なくありません。 子どもたちを取り巻く環境においては、貧困や教育格差、いじめ等、様々な課題があります。安中の未来を担う、若い世代に対するきめ細やかで迅速な支援が急務であると考えます。  さらには、経済の低迷、地球的規模の環境問題による予測不能な自然災害など、市民の暮らしや街づくり全体に様々な行政課題が山積しております。  このように社会が大きく変動する中で、誰もが住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、市民・議会・行政の三者が強い信頼関係で結ばれていることが不可欠であります。 安中市の10年後、20年後を見据えた新たな視点で、知恵や工夫を出し合い、力を合わせ「新しい安中づくり」を進めていくことが今、求められています。  私は、市民に信頼される市政運営を行う為の取り組みのひとつとして、旧安中、松井田の合併から10年の節目を迎えるにあたり、安中のこれからの街づくりに向けての意向調査を行い、結果を今後の市政に反映していきたいと考えております。同時に、市長自ら出向き市民の皆様の声を聞く事業を立ち上げます。  また、市政をわかりやすく身近なものにしていく取り組みも大切であると考えます。市政の現状や予算の使い道、これからの市政運営について等、積極的に情報発信を行うことで、これまで以上に市政に関心を持っていただき、市民ひとりひとりが参加しやすい市政の実現に向け、積極的に取り組んでまいりたいと存じます。  このような認識に立ち、私の考える安中の「街づくり」の5つの方向性をお示ししたいと思います。

 第1に「市民の命と財産を守る街づくり」を進めます。
東日本大震災以降、首都直下、南海トラフ等、大規模な地震が想定される中、平成24年に県が行った地震被害想定調査では、もし大規模な地震が発生した場合、本市も最大震度7のゆれが想定されています。 そして、近年、ゲリラ豪雨、大雨台風、たつまき、豪雪等の気象災害が増加傾向にあり、各地で過去に例のない災害をひきおこしています。先の広島での土砂災害は、多くの市民の財産と尊い命が奪われました。 土砂災害の警戒区域、特別警戒区域、また山地災害危険地区の多い本市にとって、決して対岸の火事ではありません。本年2月の豪雪災害の検証から見えてきた問題点と合わせ、現在の機構と危機管理体制を見直します。 福祉避難所の指定、要援護者個別計画の作成、自主防災組織の拡充、段階的な避難訓練等、早急に進め、市民の財産と生命を守る為の体制作りを強化します。 市道、橋梁など、長寿命化計画を見据えながら整備を進めてまいります。また、本市は国道18号や高速道路のインター、県境を抱えていますので、国や県との連携も強化していきます。

 第2に「若い世代が定住できる街づくり」を進めます。
若者や女性の雇用を増やすため、北陸新幹線安中榛名駅や上信越自動車道のICがあり、首都圏から約1時間半と近い地の利や未開発で土地の価格も安い事などを活かし、企業のバックアップ拠点や物流拠点などもあわせ、企業誘致を積極的に取り組みます。 また、核家族化や高齢出産などが増える中、安心して子どもを産み育てられるよう相談体制や家事、育児援助などが受けられる産前、産後ケアシステムを充実させ働きやすい体制づくりを整えていきます。 そして、子育て世帯の経済的負担を軽減するための取り組みのひとつとして、小中学校の給食費の段階的無料化を進めていきます。同時に「食育」を通じ健康な心と体をつくるための取り組みも積極的に行っていきたいと考えます。 若者の引きこもりやニートなどの問題は、地域の活力をつくる上でも対策が急務です。県の若者サポートステーション、ジョブカフェ、引きこもり支援センターなどを活用し、できるだけ早い段階で適切な支援につなげられるよう取り組んでいきます。

 第3に「誰もが安心して長生きできる、支え合う街づくり」を進めます。
厚生労働省の発表によると2013年の日本人の平均寿命は女性が86.61歳で世界第1位、男性も80.21歳で世界第4位となりました。増々健康な体と心で元気で長く暮らすことが求められます。 平成27年度から介護保険制度の一部が改正されるにあたり、要支援1,2の方は、サービスの一部が介護保険から切り離され、市町村事業に段階的に委ねられます。 また、障がい者に対する福祉制度は毎年のように見直されていますが、生涯に渡って切れ目のない支援が必要です。 障がいのあるなしに関わらず、年を重ねても、住み慣れた地域に暮らせるための地域包括ケアシステムの構築に向け力を注ぎます。また、安中で安心して充実した医療が受けられる体制づくりに向けて、厳しい経営状況にある公立碓氷病院の運営も含め、今後の地域医療体制の確立をめざし、検討委員会を早急に立ち上げます。

 第4に「何度でも訪れたくなる魅力ある街づくり」を進めます。
まずは「峠の湯」を再建し、「碓氷関所跡」の国指定史跡に向けた取り組みを進めます。また「鉄道文化むら」や「めがね橋」、さらに「碓氷湖」や「坂本宿」など、碓氷峠周辺を本市の観光拠点のひとつとして、みがきあげていきます。  さらに群馬の「西の玄関口松井田」「歴史のまち安中」の埋もれている魅力を掘り起し、積極的に情報発信を行うことで、磯部温泉への誘客につなげるなど、安中市を訪れる人を増やしていきたいと考えます。 また、映画やテレビのロケ地としてフィルムコミッションを立ち上げ、安中市をPRしていきたいと思います。そして、気持良く訪れていただくために、駐車場やトイレの整備が重要な要素ですので、現状を見直し整備を進めます。  また、「富岡製糸場」と絹産業遺産群の世界遺産登録を受け、近隣市町村との連携強化をはかり、観光名所や遊覧ルートを増やしていきます。また、世界遺産と関連する碓氷社や操業を続けている碓氷製糸の関係者と協議を行い、安中市の新たな観光拠点の一つとして、整備をしていきたいと考えています。  歴史、文化、立地条件など、様々な角度から安中の発信力を高めるために、私は、市長自ら行動するトップセールで取り組んでまいります。

 第5に「人と人とを結び、活力ある街づくり」を進めます。
これからの街づくりには、行政と市民の協働が欠かせません。仮称ですが、市民活動支援センターを設置し、様々な分野で活動できる市民をつないだり、また、人材の発掘や市民団体の育成等に積極的に取り組みたいと考えます。 市民ひとりひとりを結ぶために、各地域に世代を超えてみんなが交流できる居場所づくりや「空き家」の利活用を進める中で、住民同士、地域を支え合う関係ができ、お年寄りの孤立防止、あるいは介護予防、認知症予防にもつなげていきたいと考えています。 次に、安中の大きな魅力は、自然豊かで水や空気のきれいな里山の風景が残っていることです。しかしながら里山の多くは、人が入ることが難しく、また市の田畑は、全体面積の約半分が休耕地となっているのが現状です。  今、手を入れ整備を行い人々が心も体もリフレッシュできる「里山づくり」ができれば、安中にとって大きな観光資源となり、その取り組みは、鳥獣害対策にもつながります。 整備をした里山や休耕地を利用し、安中の農産物のブランド化やそれを使った加工品を開発し、第6次産業に結びつけていきたいと考えます。 緑の県民税に関わる市町村提案型事業などの補助制度を、市民に広く周知、活用して、整備を進めていきたいと考えています。また関係機関と協議し、市民や定住を希望する都市住民に「空き家」の情報と合わせ、休耕地等の情報も発信できる「空き家」と耕作放棄地の情報バンクを立ち上げ、活力ある街づくりにつなげていきたいと思います。 また、長年の懸案事項であり地域住民の願いでもある、野殿・岩井地区における公害防除特別土地改良事業の推進を県に働きかけていきます。 旧安中高校跡地については、有効活用について検討した上で取得を目指します。

 むすびに、女性の視点を活かした、きめ細やかな取り組みは、誰にとってもやさしい社会の仕組みを作ります。 現在、国や県でも女性の登用を積極的に進めていますので、本市におきましても取り組んでまいります。 以上のような考えを実現させていくにあたり、私は「出来ない」ではなく「どうしたら出来るのか」という視点で努力を行っていきたいと考えます。  安中市に暮らす、すべての人たちと共に、市民が誇りを持ち、未来の子どもたちにつなぐ「安中市づくり」をしっかりと進めてまいります。 議員各位におかれましては、このような私の思いをおくみとりいただき、特段のご支援とご協力を賜りますよう切にお願い申し上げ、所信の表明とさせていただきます。

平成26年9月1日  安中市長  茂木 英子


(後援会事務局)